2005年12月03日

燃えないブログマーケティングのススメ

先日あるブログが全焼した。
ブログの炎上自体は最早珍しくも何とも無い光景なのだが、
企業が新商品の販促の為に作ったやらせブログだったというのが注目すべきポイントだった。
このような事例は国内ではおそらく初めてではなかろうか。

ブログのポテンシャルを考えれば日本でも今後ブログをマーケティングや商品のPRに使おうという企業は増えてくるだろう。
しかし適切な方法を取らなかったばかりに商品とは無関係に炎上に至るのは不幸なことである。
そこでどうすれば炎上せずにブログをマーケティングに使うことが出来るか考えてみた。

 
 
 
◆ソニーの駄目駄目なブログマーケティング
燃えたブログの内容や発覚の経緯についてはこのブログ記事がほぼまとめている。
[B面]犬にかぶらせろ! - 炎上したソニーのブログの件
素人が書いたような振りをしながら実は広告代理店のやらせブログだったと。
速攻プロの仕事とばれて開設3日で閉鎖の憂き目に遭ったらしい。

おそらくネットやブログの事を大して理解していない人間が企画を立てたんだろう。
こういう欺瞞がネットで非常に嫌われるということを理解していなかったのだから。

アメリカでは既に似たようなことをやった企業がいくつもあって
中には新商品の企画が潰れるほどのダメージを負った企業まである。
その顛末は日本語の記事にもなっているというのに、まったくリサーチが足りんよ。
Webマーケティングの近未来 第26回〜欧米での企業ブログのケーススタディ(その6)

半年前に書かれたこの記事で「最悪のブログキャンペーン」とこき下ろされた方法をわざわざ使っているのだから世話は無い。


◆ブログマーケティング、ブログプロモーションは使えないか?
ソニーがやった今回の失敗は最悪のブログキャンペーンだった。
しかしこの失敗がそのままブログがマーケティングに使えないという結論に結びつくわけではない。
欧米でいくつか成功例が出ているように、やり方さえ間違わなければそれなりの成果を挙げられるのである。
成功の一例としてはこの記事が参考になる。
Webマーケティングの近未来 第21回〜欧米での企業ブログのケーススタディ(その3)

うまくやるためのポイントは大体こんなところだろう。

1.ブログはダイレクトに反応が返ってくる双方向の媒体だということを理解する。
 (ソニーがTBやコメントを削除して火に油を注いだように、反応を下手にコントロールしようとすると失敗します)
2.全てをオープンにしてマーケティングやPRを行う。
 (ソニーのように隠れてやるのはナンセンス)
3.宣伝に値する良い商品を提供する。これ重要
 (でないと寄せられるのは批判ばかりになります)


◆燃えないブログマーケティングのススメ
こういうやり方はどうよという提案の意味で、
個人的にブログマーケティングプロトコルの提案をしてみようかと思う。
ブログはうまく使えば宣伝、販促、ユーザーの意見のフィードバック、ユーザーコミュニティ形成などの複数の効果を同時にもたらす事が出来ると思うのだ。

1.オープンに、公明正大に
ソニーの例を見ても分かるように、自分の存在を隠してやらせプロモーションをかけたり、
あるいは他社製品をむやみにけなして自社製品を持ち上げるような宣伝方法を取ると批判の対象となる。
自社サイトに公式ページを作り、ブログを巻き込んでこういうキャンペーンをやりますよと
あらかじめ宣言しておくのがトラブルを避けるうえでは有効だろう。

2.アルファブロガーやウェブ上のメディアを利用しろ
ブログを利用してマーケティングやプロモーションを行おうと考える場合、
そもそもそういうことを行っているということを広く知らしめないと効果が無い。
ブログ界はかなり細かくクラスター化されていて、各ブロガーの普段の行動範囲は意外と狭い。
だからまずキャンペーンを大勢の人に認知してもらう必要があるわけだ。

その方法としては例えば適当なアルファブロガーを「アドバイザー」の名目で引っ張り出して、
ブログを利用したキャンペーンの事を宣伝してもらうとか、
影響力の強いニュースサイトに取り上げてもらうとか、
あるいはオーソドックスにCNETやITmediaニュースなどのIT系のメディアに取材を頼むというのもありだ。

3.ブロガーを対象としたキャンペーン
宣伝がうまくいったら次は実際にキャンペーンスタートとなる。
例えば公式サイトをブログにしておいて、ブロガー向け懸賞キャンペーンとか。
新製品が欲しい人は指定された様式のエントリをかいてTB。
(キャンペーンへの参加を意味するエントリだと示す指定した文章と、連絡用のメールアドレス、それからその製品を欲しいと思う気持ちでも綴ってもらう)
そして当選者には自分のブログでその製品のレビューを書いてもらうことになる。

影響力が強そうなブロガーだけ選んで製品プレゼントと引換えにレビューを書いてもらうという方法でもある程度の効果はあると思うが、話題性を狙うならランダム選考にした方がいいと思う。
○ヶ月以上続いているブログに限定とか縛りをかければ貰い逃げや重複応募も防止できる。

メールによる応募と違ってこのブログを使った方法のいい点は、どれくらいの反響があったかが誰の目にも分かる形でネットに反映される点だ。


◆このキャンペーンの狙い
このブログを利用した販促キャンペーンは、単に一過性のものとしてではなく継続的に行い続けることで最大の効果を発揮するようになっている。
一度この方式がブログ界に認知されたら、新製品の発売のたびに自動的にブログ界が動く。
2.の宣伝告知もわざわざする必要がなくなる。
新製品を出すたびにこのキャンペーン効果でブログ界に新製品を取り上げた記事が広がるわけだ。
ちょっとやりかたを工夫すればユーザーコミュニティの形成や低コストでのユーザーフィードバックなんかにもこのやり方は利用できる。


数個の試供品とネット上のキャンペーン記事の更新だけというわずかなコストで、
企業にとっての宣伝効果はかなりのものになると思うのだがいかがだろう?

無論デメリットが無いわけではない。
上でも書いたが製品に何らかの欠陥があった場合、大量の批判TB、コメントが寄せられることになる。
だからその覚悟は常にしておかなくてはならない。
不幸にしてそういう事態が起こったときには、誠心誠意謝罪するしかないだろう。


この方法は非常に応用性の高い宣伝方法なので、いくらでも展開が考えられる。
例えばデジカメでとった写真をエントリに貼り付けてTBさせて写真コンテスト(リコーがやってる)とか、
あるいは食料品ならレシピをブログで募集してみるとか(これも既に味の素がやってるか)、
他にも…


先見性のある企業は色々手を出し始めているようなので、先が楽しみな話でもある。


◆参考
専門家の眼 - Ad Innovator
Six Apart - Blog on Business
posted by 黒影 at 06:09| Comment(0) | TrackBack(3) | 論考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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